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2007-05-02

なぜ人を殺してはいけないか(2)――アンケート

 かつて授業の中でこの問題を取り上げたことがあった。その年は、あの9・11の事件があった年だ。それまでの数年、少年による凶悪犯罪が相次ぎ、学校崩壊が叫ばれ、若者達の傍若無人な振る舞いが取りだたされ、世の中がどうにかなってしまうのではないかという雰囲気が蔓延した時期でもあった。9・11は、そんな暗い未来へのイメージを決定的にする出来事として起こり、それ以降、われわれは、いま挙げたような事態をもはや常態として受け入れるようになってしまった感がある。

 その授業では、「なぜ人を殺してはいけないか」という問いに対して、自分ならばどう答えるかというアンケートを、学生約200人に対して行った。その結果をまとめたものが手元にあるので、それを紹介することからはじめたいと思う。

 
Q 「なぜ人を殺してはいけないか」という問いに対して、あなたならどのように答えますか?
 
 上の問いに対して、自由形式で回答してもらった。ただし、コメントペーパーは確か出席票の裏を使ったと思うので、多くの人が比較的短い文章で回答していたと思う。私はこの回答を読み、回答の内容によって大まかにいくつかのタイプに分類しながら集計した。以下にそれを紹介するが、これらは実際の回答を一定の長さに短縮したもので、それぞれの回答がもっているニュアンスが生かし切れてはいない面もある。実際に子どもに聞かれたときには、答えた内容だけでなく、どう答えるかということも重要であって、答え方の工夫にその人の個性が表れるはずである。ただ、ここでは、そうした面には注目せず、多くの回答に共通する面に眼をとめている。

 分類のしかたは以下の通り。全ての回答を、大きくA「ヒューマニスティックな回答」、B「現実主義的な回答」、C「その他」の三種類に分け、それをさらにいくつかの項目に分けている。こうした分類はあくまで恣意的なものであって、今見返すと多くのまずい面に気づかざるを得ない。だが、再度分類し直してもやはり同じような不満が残るだろう。一つの文章がもつ含みは単純に類型化することはできないからだ。あくまで数多くの回答をまとめるための便宜的な手段と考えていただきたい。

A ヒューマニスティックな回答(118)   
 ①人権・命の尊さ(41)       
 ②かけがえのなさ――人生(過去・未来)を奪うことだから(44)
 ③家族等の悲しみ (33)
B 現実主義的回答(55)
 ④自分が殺されたくないから――相互性(34)
   (a)「思いやりタイプ」、
   (b)「取引タイプ」
 ⑤社会秩序 (21) 
C その他の回答(45)
 ⑥命のつながり (10)
 ⑦殺す人自身にとってよくない (10)
 ⑧生物学的説明 (12)
  (a)動物と違う――理性をもっている
  (b)動物と同じ――本能をもっている
 ⑨答えはない あたりまえ (13)

 なお、( )内の数字はそれぞれの回答数を示している。ただし、複数の理由を挙げている回答については、それぞれを別々の項目に振り分けているため、回答者の数よりも、答数項目が多くなっている。

 エントリーを改めて、①から⑨に属する各回答について、簡単なコメントをつけながら紹介することにしよう。

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