トタンで巡る古都の旅
S国からの帰りにK都に立ち寄った。K都には修学旅行以来ことあるごとに行っているが、いつも何かの用事があって、観光らしいことはほとんどしていないに等しい。今回ははじめからポイントを決めて、宿もその付近に取り、ゆったりと散歩することにした。
夕方宿に荷物をおくと、平安神宮あたりから、銀閣寺へ向けて「哲学の道」を歩く。パンフレットには昔西田幾多郎が歩いたのがその名の由来だと書いてある。しかし想像していたのとはかなり違って、西田哲学の雰囲気はすでになく、むしろ彼女とのデートに最適に思える。つまり、なんかカワイイ感じ。私は妻と二人で気持ちよく歩くことが出来た。ただし銀閣寺に着いた時にはすでに門は閉まっており、中を見ることはできなかった。法隆寺の時もそうだったが、すでに門が閉まった後の寺院周辺の不思議な雰囲気が私は好きなので、それはそれで中を見るめんどうがはぶけてよかった。
それから西へしばらく歩くと左手に黒々とした木々の茂る小山が出現。どうやら吉田神社のようだ。主要道路から一本脇に入って神社の森にそって進んでいると、道端にたたずむ妖婆に声をかけられる。もう歩く時間ではないから、早く帰れと言っている。顔はにこやかだが、ここはおまえたちの来る場所ではないと言っているように思える。私は小学生になったような気分で、「すいません」と謝り足をはやめる。神社がとぎれる間もなくK大の高い塀に突き当たると、裏戸から構内へすべり込む。吉田神社に接しているせいか、K大も含め、このあたりは何か異様な空気がただよっている。わがK越で言えばK高の裏あたたりの雰囲気だ。ああ、こういう環境(どういう環境?)で学生生活を送るK大生がうらやましい。そう思いながら正門から大学を出て、さらに鴨川までひたすら歩く。
すでに日はとっぷりと暮れて、深い藍色に変化した水面に街の灯が一つ、二つと映っている。食事の出来る店を求めて川の向かい側に渡ったところに垢抜けた教会が一つある。K都バプティスト教会、なんと白頭庵氏の行っているところではないか! O先生のお名前が書いてあるので間違いはない。白頭庵氏は今頃はN古屋だから、ここにはいないだろうが、氏のブログには鴨川を散歩するシーンが出てくる。氏が教会からふらっと川ぞいに出ていく情景を想像する。疲れ切ったわれわれは、教会の前の店で遅い夕食をとることにする。静かでとてもよい店だった。
全部で5キロほど歩いただろか。おかげでK都の町並みを私なりに堪能できた。いろんな点でK越に似ているが、やはり規模の点で圧倒的であることと、山が近いことが決定的に違っている。歩きながらふと覗き込む横道がいちいち魅力的な表情をたたえていて、こんな横丁がK都中にいくつあるのかと考えると、やはりさすがとしかいいようがない。いつか友人がパリに行ったとき、写真を撮る気がしなくなったと言っていたが、K都も同じだ。撮ろうと思えば、見た物すべてを撮らなくてはならなくなる。
しかし私にはテーマがあった。トタンだ。トタンという主題があれば、撮影対象を絞ることができる。K都のような街にはたしてトタンがあるだろうかと思っていたが、この点についてもK都はなかなかのものであった。古い町並みにとけ込んでいくつかのすばらしいトタンに出会うことができた。以下、それらを一挙大公開だ。なお、この中には白頭庵氏の教会の近所の物件も含まれている。



















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